鮮魚ボックスはいいぞおじさんのブログ

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鹿渡島定置に定置網漁体験に行ってきました!(石川県七尾市, 2022年10月)

こんにちは。mizumu326です。

 

今回の記事では、いつもの鮮魚ボックスの紹介ではなく、その鮮魚ボックスができるまでのプロセスに関して、漁師さんのもとにお邪魔して定置網漁を見学させていただいてきたので、その様子をレポートします。

 

今回は少し長いので目次。

 

 

お世話になった漁師さんについて

去る2022年10月某日、石川県七尾市の鵜浦漁港を拠点に漁業(定置網漁)を営んでおられる、株式会社 鹿渡島定置さん(以下、鹿渡島定置)にお邪魔しました。鹿渡島定置は以前、漁師さん直送市場で鮮魚ボックスをお願いしたことがある漁師さんです。

 

mizumu326.hatenablog.com

 

鹿渡島定置では一般の方向けに、実際の定置網漁に同行させていただける&帰港した後に獲れた魚を食べさせていただけるサービスを通年実施されています(詳細は添付のリンクをご参照ください)。今回、自分が取り寄せてきた鮮魚ボックスがどのようにしてできているのかを知るべく、漁の様子を見学させていただくことにしました。

鹿渡島定置 - Spot|ぶらり能登

 

当日までの流れ

定置網漁体験への参加は事前予約が必要です。私の場合は、参加日の1週間ほど前に鹿渡島定置さんに電話で連絡しました(その後メールで参加者や貸出品の希望等、詳細なやり取りをしました)。私は関東から参加したので、観光も兼ねて前日に関東→石川県へ車で向かいました。

能登町の有名な寿司屋「津久司」さんでランチ

お風呂は和倉温泉を利用しました!

お風呂あがりは能登ミルクさんのジェラートがおすすめです。
総湯のすぐ近く。

 

当日の流れ

集合~乗船

当日は朝2時40分までに漁港に集合でした。朝早かったので、夕食後、七尾の道の駅で仮眠をさせていただき、朝2時ごろ、酔い止めを飲んでから(ここ大事)、道の駅を出発して漁港に向かいました。道の駅から漁港までは20分くらいです。人気のない道を進みます。

2時20分ごろには漁港に到着しました。小さな漁港ですが、駐車スペースは多少ありますので、そこは心配ないかと思います。到着後、既にいらっしゃった漁師さんに挨拶をして、漁師小屋に案内いただきました。小屋の中はストーブが炊かれており、深夜ですが暖かったです。ここで長靴や合羽、ライフジャケットのレンタル、料金の精算を済ませました。お借りした合羽を着ていると、もう一人の参加者さんがいらっしゃいました(この日の参加者は我々とその方で計3名でした)。

鹿渡島定置の漁師小屋(画像中央左あたりに鹿渡島定置の表札があります)

そんなこんなで準備を終え、いよいよ船に乗り込みます。社長の酒井さんの案内で、船の後方に座りました。他の船員の方も乗り込んだらいよいよ出発です。順調そうに出港できたように思っていましたが、後から聞いたところ、前日の荒天の影響で沖合は波がそこそこ高く、これ以上波が高かったら今日の漁は中止になるほどだったようです。改めて自然相手の仕事であることを感じました。

漁船!今見返しても当時のワクワクがよみがえります。
出港~魚を獲るまで

ブロロロロ...というエンジン音とともに出港します。鹿渡島定置さんは2つの定置網を持っており、まず1つ目の定置網に向かいます。船は照明を灯さず真っ暗闇の中を進み、漁師さんたちは特に談笑することもなく、各々が静かに到着を待っていました。船が水を切る音だけが聞こえてきます。

15分ほどで1つ目の定置網に到着です。到着すると船に明かりが灯ります。明るくなると周囲を飛ぶカモメの多さに驚きました。定置網のロープを船に括り付けた後、漁師さんたちは船の左舷に横一列で並び、網を手繰っていきます。我々も船の中央に移動し、操業の様子を真横で見学させていただきました。

定置網に到着した後、ロープを固定する様子。

網を少しずつ手繰り、徐々に魚を追い込んでいきます。途中で気づいたのですが、我々が乗った船のほかにもう1艘、網の反対側(奥側)に船がいました。初めの方は網に刺さったサバなんかがときたま見えていた程度でしたが、向かいの船との距離が10メートルを切ってくると、だんだんと中に入っている魚が見え始めます。水面も少しずつ慌ただしくなってきます。

網が狭まってくると、青く巨大な魚体が網の中を泳ぎ回る様子が見えてきました

船の間隔が5メートルを切り、網が十分に狭まると、いよいよ魚を漁獲します。船に取り付けた大きなタモ網で網の中を泳ぎ回る魚をすくうと、タモ網を吊るクレーンを駆使して、すくった魚を海氷を張った船倉に移していきます。獲った直後に魚を冷やすことで、鮮度を損なうことなく漁港に持って帰れるのですね。網で魚をすくう人、クレーンを動かして網を船倉の上に持ってくる人、網の底の縛りを解き、魚を船倉に移す人、揺れる船体の上で声を掛け合いながら、息の合った連係プレーでした。

狭まった網から魚をすくう様子。全身をフルに使ってタモ網を動かします。

すくった魚をクレーンで船倉に移す様子。これぞ定置網漁、大迫力です。

ちなみに青い魚体の正体はシイラでした!太平洋側の南の方で獲れるイメージがありましたが、富山湾でも揚がるのですね。そのほか大きなサワラを1匹、漁師さんが別に取り分けて素早く血抜き作業をされてました。これが後の朝食に並ぶことになるとはこの時は知らず...。

網の中の魚をひとしきり獲り終えると、次の網に向かいました。作業の流れは1つ目と同じですが、狭まった網を泳ぎ回る魚影、すくった魚を船倉に移す様子は何時間でも見ていられるほどでした。

2つ目の網でも船と船の間隔を狭めて、魚を寄せていきます。
ちなみに画像左にあるタイヤのようなものは、網を自動で手繰ってくれる機械です。

なお、途中で1度トイレに行きたくなり、船に備えられているトイレを使用させていただきました。出港~3時間くらいは海の上にいるので、トイレの心配がないのは安心ですね。

 

帰港~仕分け

2つ目の網の漁を終えた朝6時ごろ、船は港に戻ります。大迫力のシーンから一転、明るくなってきた空と、船についてくるカモメを見ながら静かに、ほっと一息つく時間でした。

港に戻る船から。このころになると空も明るくなってきます。

港に戻ると、今度は魚を陸に揚げ、仕分け作業に移ります。先ほど魚をすくうのに使ったクレーンを使って、魚を船倉からベルトコンベアに移していきます。ベルトコンベアに乗せる前にシイラなど巨大な魚は別にコンテナに分けられますが、残った魚はベルトコンベアを進み、サイズ別に分かれ仕分け台に流れていきます。この日は前日の荒天の影響もあり、藻が大量に混じっていました。

船から仕分け用のベルトコンベアに魚を移すところ。

ベルトコンベアには乗らず、コンテナに直接移される大量のシイラ

ベルトコンベアを進む魚たち。この後サイズに応じて別々の仕分け台に流れていきます。

サイズに応じてそれぞれの仕分け台に流れてきた魚を、今度は人の手で魚の種類ごとに分けていきます。この日、小さいサイズに分けられてきた魚は、アジ、カマス、カワハギ、アオリイカなど。大きいサイズにはショゴ、サバ、アオリイカ、フクラギ、カジキ、ヨコワ、キジハタ、シイラ、ウスバハギなどが混ざっていました。カマス、カワハギ、アオリイカ、ショゴ、シイラ等は秋によく網に入るそうです。

小さいサイズに分けられてきた魚たち。この日はカマス、カワハギが多かったです。

大きいサイズに分けられてきた魚たち。
ショゴ、サバ、フクラギ、アオリイカ、カジキなど。

この仕分け作業では、我々も漁師さんの脇に並んでお手伝いをさせていただきました。また、おそらく魚の仕入れに来ていたであろう近くの料理屋や宿屋の方も仕分けに加わりながら、目当ての魚を探しているようでした。ちなみに、鹿渡島定置では、獲れた魚を漁港で直接販売する浜売りもされていて、一般の人も朝、現地に行けば買うことができるそうです(もちろん、何が買えるかは行ってみてのお楽しみです)。近くに住んでいる人がとってもうらやましい...。

その日獲れた魚で朝食!

仕分けが終盤に差し掛かると、我々は一旦作業を切り上げ、近くを散歩した後、漁港から歩いて5分ほどの所にある魚の加工場(魚工房 旬)に移動して朝食をいただきました(魚工房 旬では普段、獲れた魚を干物や漬魚に加工して販売されています)。

加工場に入ると、ベニヤ板の簡易的なテーブルにはフクラギ、フグ、アオリイカ、サワラの刺身に、カマスの干物、カワハギの味噌汁が並んでいました。どの魚も、先ほど獲れたばかりの魚たち。このうえなく贅沢な朝食です。

朝食会場に向かう前に、漁港近くの観音島に立ち寄りました。
朝の清々しい空気に癒されます。

朝食には先ほど水揚げされたばかりの魚が並びます!

いつもは社長の酒井さんが参加して漁の話をしてくれるそうですが、あいにくこの日は予定があったようで、参加者3人で朝食をいただきました(満腹です!)。もう一人の参加者の方も我々と年が近かったので会話も弾み、楽しい朝食でした。

朝食を食べ終えた後は、加工場にいらっしゃった方々に挨拶をして、解散です。いやー楽しかった!

 

感想

鮮魚ボックスができるまでの様子を知りたくて行ってみた、初めての定置網漁体験でしたが、狭まった網を泳ぎ回る魚たち、さらにそれを獲る漁師さんの姿は想像以上の迫力でした。また、定置網に向かうひと時の静けさにあるワクワクした気持ち、定置網から戻るひと時の静けさにあるほっとした雰囲気は、参加しないと味わえないものだったなと思います。漁港に戻った後の仕分け作業は一見地味ですが、個人的には間近で魚が見られること、それらが大きさごとに整理されていくのが楽しかったです。また、これまで届いた鮮魚ボックスで、たまに口から小さい魚が出ている魚を見る機会が何度かあったのですが、今回同様に口に小さい魚が入った魚が思った以上にいて、これまでの驚きが納得に変わった瞬間でした。朝食では上にも書いた通り、その日に水揚げされた魚をいただくことができましたが、これが本当に美味しかった。個人的には鰆の炙りが特にモチモチした独特の食感で美味しかったです。

唯一心残りがあるとすれば、いわゆる神経締めの様子を見られなかったことです。鹿渡島定置から送られてくる魚のうち、サイズの大きいものは特に神経締めされているケースが多いですが、今回は見る機会に恵まれませんでした。次行く機会があれば、そのあたりも見学できるといいなと思います。

最後に、今回見学できた作業を、暑い日も寒い日も朝日が昇らないうちから、1年中こなされている漁師さんに改めて敬意を抱きました。これからも全国から鮮魚を取り寄せるつもりですが、その1回1回の裏側にある漁師さんの努力を忘れずに、美味しくいただきたいなと思います。

 

巨大シイラと記念撮影!重かった...笑

 

長くなってしましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。

面白そう!と思った方はぜひ1度、参加してみてくださいね。

いい思い出になること間違いなしです。

(ちなみに今回の体験は、ふるさと納税の返礼品にもなっているようです)

www.furusato-tax.jp